
セイロップの設楽です。
2025年9月10日(水)から9月12日(金)に開催されたDroidKaigi 2025に参加してきました!本記事ではDroidKaigiに参加した際の様子やそこで得た学びについて紹介します。
印象に残ったセッション
今年は2日間で47セッションが開催されました。今年はAI関連のセッションが多く見受けられた印象でした。参加したセッションのうち特に印象に残ったセッションを紹介します。
UIだけじゃないComposeの可能性 ━ 宣言的に奏でるメロディ
https://2025.droidkaigi.jp/timetable/936837/
Compose runtimeを活用して、独自の宣言的音声処理ライブラリを構築した知見がまとめられたセッションでした。
Android開発では宣言的UIを構築する手段としてJetpack Composeが利用されています。
Composeの基礎となっているCompose runtimeにはUIを描画する機能はなく、Composable関数による汎用的なツリー構造の構築と更新を担っています。このCompose runtimeの特性を利用し、Composable関数で音声処理を宣言的に記述する仕組みを構築した方法について解説されていました。
私も日常的にJetpack Composeを利用しますが、UIを構築する手法のキャッチアップを行うことが中心でした。Composeの仕組みを理解することで今までの知識が結びつき、Compose理解の解像度を高めることができました。今回のセッションでは普段学習する機会の少ない低レイヤーの仕組みの知見が得られたので、非常によい機会になりました。
Android開発者のためのGen AI
https://2025.droidkaigi.jp/timetable/944464/
生成AIをAndroidアプリに組み込んだ事例や、Androidエコシステムにおける生成AIの選択肢など、幅広い内容を扱ったセッションでした。
生成AIが動く仕組みから解説されており、仕組みから考えた効果的なプロンプト構築のための、数多くのTipsも紹介されていました。
- Temperature(tokenに基づく確率分布)を調整する
- 感情的な刺激をプロンプトに入れる
- 否定文は避ける
- 役割を与える
- 英語で指示を出す
- 思考パターンを例示したり、大量のサンプルを与える、etc…
場当たり的なHow toだけでなく、生成AIの仕組みから理解することの重要性について再認識できた、密度の濃いセッションでした。(英語プロンプトを使うために、英語も勉強しなきゃなぁという思いです)
プロパティベーステストによるUIテスト: LLMによるプロパティ定義生成でエッジケースを捉える
https://2025.droidkaigi.jp/timetable/945988
従来の事例テスト(EBT)が有する課題と、それに対するプロパティベーステスト(PBT)ではどのように課題を解決するかを解説したセッションでした。
現実世界は問題空間が大きく、テストケースを網羅しようとすると組合せ爆発が起こりやすいです。
これに対してPBTでは問題空間をコードで定義し、そこから値をランダム生成することで、探索的なテストを実現しています。問題空間の設定やプロパティの設定は難易度が高いため、LLMを活用することでより効率的にテストを構築するためのヒントが解説されていました。
PBTは概念として知っていた程度でしたが、セッションを通してより具体的なイメージを掴むことができました。従来型のテストと比較して作成コストが高いこと、確認よりも探索向きであることなど、適しているケースがどのようなものか理解できたことで、今後のテスト戦略に活かせる実践的な知識となりました。
Compose Multiplatform × AI で作る、次世代アプリ開発支援ツールの設計と実装
https://2025.droidkaigi.jp/timetable/939784
GUIでJetpack Compose製のアプリが作成可能な、AIエージェント搭載のデスクトップアプリを開発した知見についてのセッションでした。
Composable関数の各NodeをSerializableなdata classとして表現することで、全体の木構造をyamlとして表現することができます。GUIの各操作を、yamlを引数にとる関数としてLLMに公開することで、LLMからGUI操作を実行する仕組みを実現していました。
AI agentsについて「Programs where freeform LLMs outputs control the workflow」と説明があり、AI agentsの仕組みと実践的な知見がふんだんに盛り込まれた非常に有益なセッションでした。AI agentsの仕組みも分解すれば馴染みのあるもので「Agent作成は怖くない!」と、AI agentの作成に挑戦してみたいと思える内容でした。
スマホ新法って何?12月施行?アプリビジネスに影響あるの?
https://2025.droidkaigi.jp/timetable/981378
公正取引委員会による2025年12月18日から施行予定の「スマホ法」について解説した招待講演にも参加しました。
技術面に偏りがちな、日々のキャッチアップでは得にくい法律について分かりやすく学ぶことができた有益なセッションでした。内容や語り口が大変面白いので、上記リンクのアーカイブから視聴することもオススメです!
Cache Me If You Can
https://2025.droidkaigi.jp/timetable/946751
gradleとAGPの仕組み、効率的なgradleのキャッシュ戦略について解説されたセッションでした。
公式ドキュメントだけではgradleの理解が難しいと感じていたため非常に学びが多かったです。特に、キャッシュ効率から考えるマルチモジュール構成は目から鱗で、明日からの開発に活かせる実践的な内容でした。
協賛エリア
協賛エリアでは様々な企業が出展しており、プロダクトや開発体制について色々とお話を聞くことができました。また恒例のバリスタの方が淹れてくれるコーヒーや、ネイル体験会(!?)も開催しており、他の参加者と交流を深めることもできました。


まとめ
今年のDroidKaigiも素晴らしいセッションの数々で、多くの学びを得ることができました。また、たくさんのエンジニアの方々と交流することで、開発に対するモチベーションが一層高まりました。
Android開発は非常に面白い分野で、素敵なコミュニティが形成されています。ぜひチャレンジしてほしいです!
セイロップには社員のスキルアップを支援する「技術イベント参加支援制度」があり、今回のようなイベントにも参加しやすい環境が整っています。
新しいことに挑戦し、技術を高められる環境が整っている職場です。ぜひ一緒に働きましょう!