セイロップの設楽です。
2026年9月1日(火)から9月3日(木)に開催されたDroidKaigi 2026に参加してきました!本記事では、DroidKaigiに参加した際の様子やそこで得た学びについて紹介します。
今年のDroidKaigiの印象
昨年の参加レポートでは、「AI関連のセッションが多く見受けられた」と書きました。今年参加して感じたのは、AIが「新しい話題」から「前提」に変わっていたことです。AIに任せるための土台をどう作るか、そして人間の責任範囲をどこに引き直すか、が多く議論されていました。
参加したセッションの中から、特に印象に残ったものを紹介します。
AIとどう開発するか
デバイス操作はAIエージェントの時代へ。mobile-mcpを活用したAndroid UI/E2Eテストの挑戦
https://2026.droidkaigi.jp/timetable/1236044
mobile-mcpというツールを使って、AIエージェントにスマートフォンを実際に操作してもらい、アプリの動作確認を任せてみる、という実践セッションでした。「この画面を開いてボタンをタップして」と指示すると、エージェントが実機やエミュレータを操作し、その結果のスクリーンショットを返してくれます。
特に参考になったのは、AIに任せる仕事と任せない仕事が明確に線引きされていたことです。AIに向いているのは、実装直後のとりあえずの動作確認や、手順のわかっているバグの再現調査など、一時的な動作確認用途です。
一方、回帰テストやレイアウトの検証など、正確性と再現性が求められる作業には向いていません。また、「動きが気持ちいいか」といった主観的な評価もAIに任せるのが難しい領域です。
「AIはミスをするしコストも高い。ベストプラクティスはないのでいろいろ試そう」という締めくくりも誠実で印象に残りました。
AIがレビューする時代に、Androidエンジニアは何をレビューするのか 〜土台づくりとレビュー再設計〜
https://2026.droidkaigi.jp/timetable/1235712
プルリクエストの数は増えたのに、リリースまでの時間が短くならない。レビュー待ちが溜まり、差分の大きな変更はレビューがつらい。そこにAIレビューを導入しても、さほど改善しなかった。そんな事例から始まるセッションでした。
どちらのセッションも、AIの使い方そのものより「どこまで任せるか」の設計に重心がありました。すべてをAIに任せるのではなく、AIの特性とコストを理解したうえで線引きをする。プロジェクトや組織によって正解は異なるため、とにかく試行錯誤を繰り返していく姿勢が重要だと感じました!
セキュリティ
昨今、サイバー攻撃が増加し、セキュリティの重要性がますます高まっています。身近なサービスが攻撃を受けることもある中で、強い関心を持って2つのセッションに参加しました。
「アクセシビリティを利用するとき、アクセシビリティもまたこちらを利用している」 〜マルウェアによる攻撃と防衛について〜
https://2026.droidkaigi.jp/timetable/1229693
OSの機能を悪用する攻撃の話です。アクセシビリティサービスは、画面の読み上げや手を使わない操作など、誰もがアプリを使いやすくするためのOSの機能です。その役割上、他のアプリの画面を読み取り、代わりに操作する権限を持ちます。マルウェアが狙うのはここでした。
配布の時には無害な顔をして審査を通り、あとから攻撃コードを送り込む。権限を取るときには、警告や急かしで人間の心理を突く。具体的な手口が解説され、攻撃側の解像度が一気に上がりました。
Securing Android SDKs: A Defense-in-Depth
https://2026.droidkaigi.jp/en/timetable/1236076
他社のアプリに組み込んで使ってもらう部品(SDK)を守る話です。SDKは一度配布してしまえば手元で制御できず、その中身は攻撃者にすべて見られます。
攻撃を防ぐ手段も様々ありますが、どれも単体では破られるリスクがあります。完璧な対策を行うのは現実的ではないため、さまざまな手法を組み合わせることで攻撃側のコストを引き上げる「多層防御(Defense-in-Depth)」の考え方が紹介されていました。
狙われる対象は異なりますが、行き着く結論は同じだったのが印象的でした。
- 攻撃コストを高める — 割に合わないと思わせて、攻撃を諦めさせる
- 被害を軽減する — 被害を受ける前提に立ち、実害を最小限に抑える
セキュリティには必ずトレードオフがあります。守りを固めてシステムが複雑になるほど、利用者にとってサービスが使いにくくなるリスクもあります。また、セキュリティはモバイル側だけで完結する問題ではないので、バックエンドやプロダクトセキュリティのチームと協力することが大事だという指摘にも共感できました。
越境する
なんとかする力 〜Androidエンジニアからマネージャー、さらにその先へ?〜
https://2026.droidkaigi.jp/timetable/1297356
マネジメントを「なんとかする」と訳すところから始まるセッションでした。「なんとかする力」を、不確実性(わかっていないことや曖昧なこと)に立ち向かう力、と定義されていました。
面白かったのは、エンジニアは個人の力を使ってなんとかする一方、マネージャーは自分が管理している組織全体の力を使ってなんとかする、と整理されていた点です。役割が違っても、不確実性へのアプローチが違うだけです。
キャリアとは、なんとかできる領域を広げること(越境)と、より難しい不確実性に立ち向かえるよう深めることの2軸で考える。役職の階段を上ることとは別の形でキャリアを捉えられるので、今後のキャリアを整理するうえでも役立つセッションになりました。
なぜエンジニアの意見は届かないのか——エンジニアがプロダクトの意思決定に影響を与えるための実践Tips
https://2026.droidkaigi.jp/timetable/1232225
エンジニアの意見がプロダクトの意思決定に反映されないのはなぜか、という問いから始まるセッションでした。プロダクトマネージャーの役割や意思決定の進め方を理解したうえで、どうコミュニケーションを取るべきかを探っていく内容でした。
どちらのセッションも、最後はAIの話に接続していました。なんとかすべき対象を見つけてゴールさえ揃えば、行動の部分はAIが引き受けてくれる。AIは増幅装置であって、何を増幅するかを決めるのは人間です。
AIによって作業速度は加速していますが、依然としてコミュニケーションの課題は人間が解くべき課題だと感じます。AIに任せることで浮いた自分の時間をどう使うか、これからの1年では、これを意識していきたいです。
懇親会・協賛エリア
協賛エリアでは様々な企業が出展しており、プロダクトや開発体制について色々とお話を伺いました。恒例のネイル体験会もあり、他の参加者と交流を深める時間にもなりました。

After Partyでは、普段関わることのできない他社のAndroidエンジニアの方々と、テストの悩み、個人開発、採用の状況まで幅広くお話できました。ここでもやはり話の中心はAI。どのツールを使っているか、どこまでAIに任せているか、何がうまくいかないかなど、セッションで語られていた内容が、そのまま現場の共通の関心事になっていました。
まとめ
今年のDroidKaigiも素晴らしいセッションの数々で、多くの学びがありました。また、たくさんのエンジニアの方々と交流し、開発に対するモチベーションが一層高まりました。
AIが前提となり、プロダクト開発の環境が大きく変わる今だからこそ、カンファレンスで最新の知見に触れ、人と交流することの価値が増していると感じます。
セイロップには、社員のスキルアップを支援する「技術イベント参加支援制度」があり、今回のようなイベントにも参加しやすい環境が整っています。
新しいことに挑戦し、技術を高められる環境が整っている職場です。ぜひ一緒に働きましょう!